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2011年01月25日

GAORAスーパーファイトが提示したもの

 プロレスにはまだまだ底知れない面白さとパワーがある。それを実感させられたのが昨日のJCBホールにおける『GAORA20周年記念スーパーファイト2011』だった。解説を務めた私がこう書くと手前味噌のようになってしまうが、全日本プロレスとドラゴンゲートを軸に様々な団体の選手が参加し、それぞれが自身の試合にテーマを見出し、個性をきっちりと発揮していた。見事というほかない。

これだけのキャラクターが揃い、これだけのファイト・スタイルがある。それは他の格闘技にはないもので、プロレスというものの特性を大いにアピールできた大会だったのではないか。近藤修司とドラゴンゲートの土井成樹&谷嵜なおきの激突という因縁含みのカードもあったが、それはそれで楽しいだけでなくギラリとしたプロレスの怖さを見せてくれたと思う。

 特別ゲストのAKB48(河西智美、石田晴香、佐藤すみれ)については一部のプロレスファンから「プロレスを知らないアイドルを…」という声も聞こえてきそうだが、プロレスの間口を広げるという意味では彼女たちの起用は正解。それだけ記事になりやすくもなるというのが現実だし、プロレスに興味のないAKBファンがテレビを観たり、会場に足を運んでくれていたとしたらファン拡大のきっかけになったはず。実際、彼女たちはプロレス素人で、最初は解説席に座るのを不安がっていたようだが、試合が進むにつれてハマっていくのがわかって嬉しかった。何の予備知識がなくても楽しめるというのはエンターテインメントとしては重要なことだ。そう、プロレスは理屈抜きに面白い。

「お前にひとついいことを教えてやろうか?」「何ですか?」「プロレスっていうのはな、面白いもんなんや。楽しいもんなんや」。そんな20年以上も前のジャイアント馬場さんとの会話を思い出した。

 これからもプロレスの楽しさ、面白さ、そして怖さ、深さを伝えていきたいと初心を新たにした次第だ。

投稿者 maikai : 18:26 | コメント (1)

2011年01月20日

天龍源一郎vs前田日明

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 昨日は1月24日(月)午後11時からサムライTVで放映される対談番組『Versus』の収録。天龍源一郎vs前田日明が実現し、その“影の声”を担当した。

 まず、収録前の打合せでそれぞれの控室へ。今回の対談をリクエストした天龍は「今、前田はプロレス界との接点が少ないから、彼がやっているアウトサイダーをプロレスファンにアピールしてあげたいし、今の若いファンは前田の現役時代の凄さを知らない人も多いだろうから、そこもクローズアップできたらいいと思ってるんだよ。あとは結婚して、子供もできて丸くなった前田日明というのにも興味があるね。丸くなっていなかったら、それはそれで凄いことだよ(笑)。まあ、今日は俺がホスト役ということで」とノリノリ。

 続いて「ちゃんと挨拶してきなさい」と促された天龍プロジェクトの嶋田紋奈代表と共に前田の控室へ。「本来なら父が挨拶に来なければいけないんですが、対談番組ということで収録まで顔を合わせられないので、代理として挨拶にお伺いしました。よろしくお願いします」と挨拶する紋奈代表を見た前田は「天龍さんの娘さん? 美人になったねぇ!」と満面の笑み。97年7月6日の両国国技館におけるWAR5周年&天龍革命10周年&天龍源一郎プロレス生活20周年興行に花束を持って駆けつけた前田は、その当時の中学生の紋奈さんを憶えていたのだ。

「天龍さん、いまだに豪快に飲んでるのかな? 今のプロレス界に絶対に必要な人だから、体が心配なんですよ」「あの時代は面白かったよねぇ。でも、俺ら(UWF)は仲間がいたけど、天龍さんはひとりであんな戦い方をしていたわけでしょ? それも日本人相手だけじゃなくてハンセンとかのガイジンにもやっていたんだから凄いよ」と前田も本番前から饒舌。スタッフの人が「もう天龍さんはスタンバイしてます」と呼びに来て、慌ててスタジオへ。

 両者は結局、リング上での接点はなかったが80年代半ばに常に意識し合ってきた。天龍はUWFを、前田は天龍革命を支持する一方で、お互いに「負けてなるか!」と張り合ってきた。天龍の凄まじいファイトに危機感を抱いた前田は「天龍さんとガンガンやってきたタフな長州さんなら大丈夫なはず」と例の顔面蹴撃事件を起こしてしまったし、天龍は新生UWFが東京ドームに初進出した89年11月29日に「話題を独占させてたまるか!」と札幌でジャイアント馬場フォールの偉業をやってのけた。そうして2人は時代を作ってきた。根っこの部分では「激しい時代を生き抜いてきた」という同志的な感覚があるのだと思う。

 だから本番でも現在の活動、子供話、UWFと天龍革命、85年12月に前田が全日本に上がる話があったことなど、話題は尽きず、あっという間に収録時間の1時間をオーバー。

「若い頃は“人と変わってる”って言われると不安になったけど、このトシになると、そう言われるとホッとしますよ」(前田)
「俺たちは、安定は退屈なんだよね」(天龍)
改めて、そんな生き方がファンの心を掴んだのだと感じた。

投稿者 maikai : 11:53 | コメント (4)

2011年01月16日

おめでとう!後藤選手&真実さん

 昨日は明治記念館で後藤洋央紀と真実夫人の結婚式。後藤と真美さんは09年10月に入籍、昨年6月には長女・沙希ちゃんも誕生しており、子連れでの挙式&披露宴となった。実は私と後藤には意外な接点があって、引っ越し業者の営業担当が同じ人物だったのだ。

 今、新日本は契約更改を迎えてデリケートな時期だが、まるでビッグマッチ用のようなVTR(菅林社長も出演)を流すなど、新日本の一体感が感じられる温かい披露宴。後藤に一目ぼれして猛プッシュした真美さんが新日本の事務所に「後藤選手は本当に独身ですか?」と電話で問い合わせたというエピソードも披露された。

 私は金沢克彦氏、三田佐代子さん、GAORAで一緒に全日本中継をやっている鍵野威史アナ、サムライで一緒にリアルジャパン中継をやっている清野茂樹アナ、週プロの湯沢直也編集次長、昨年まで週プロの全日本担当記者で現在はBBMアカデミーの市川享氏らと同じテーブル。金沢氏と三田さんが喋くり、飲み過ぎた鍵野さんが沈没というお約束の展開に…。

 披露宴は歓談の場でもあり、普段は個人的に喋る機会があまりない矢野通、NO LIMITの高橋裕二郎、内藤哲也らと深イイ話ができたのは楽しかった。

 3時間を超える楽しい宴。後藤選手、真実さん、お疲れさまでした。末永くお幸せに!

投稿者 maikai : 13:31 | コメント (0)

2011年01月13日

今現在の天龍源一郎

 昨日の午後11時からサムライTVで放映された天龍プロジェクトの12・14新宿FACE大会中継をご覧頂けただろうか? タレントの山口雅史氏が実況、解説を私と天龍さんが務めた。天龍さんが自分の試合(天龍&ブラック・タイガーvs初代タイガーマスク&タイガー・シャーク)も解説したのである。ご存じのように左膝の負傷で思うようなファイトが出来なかった天龍さんは「俺の試合は早送りでいいよ」と苦笑していたが、体が動かない自分のファイトをしっかりと見つめていた。

 かつて武藤敬司は「俺なんかは時代に応じてファイト・スタイルを変えてきたけど、三沢さんとか全日本系のレスラーは自分のスタイルを変えないからキツイよな」と言っていたが、天龍さんも“動けている自分”が常に頭の中にあるから、そこにジレンマがある。それでも「今現在のありのままの自分を観てほしい」という気持ちから昨夏の負傷以降も試合に出場し続けた。その一方では「絶対王者の自分のイメージを守りたい」と、万全を期して欠場を続けている小橋建太がいる。形は180度違うが、どちらも自分にプライドを持っていることには変わりない。

 さて、収録は1月11日だったが、約1ヵ月ぶりにお会いした天龍さんの体調はかなり上向いている。昨年8月頃は歩行も困難な感じだったが、この収録では負傷していることを感じさせなかった。

「絶対に体を万全に戻して、対戦相手をリングサイドのお客さんの前まで吹っ飛ばしてやりたいと思ってるよ」と天龍さん。「もう一度、思い切り暴れてやる!」というのが、今の天龍さんのモチベーションになっている。

 なお、この中継は明日午後8時から再放送されるので、見逃した方はぜひ!

投稿者 maikai : 12:31 | コメント (0)

2011年01月11日

藤波vs長州に望んだものは…

 昨日の後楽園ホールにおけるレジェンド・ザ・プロレスはチケットが完売! 超満員札止めとなった。目玉は藤波辰爾と長州力の13年5ヵ月ぶりの一騎打ち。82年10月8日、長州が藤波に向かって「俺はお前の噛ませ犬じゃない!」と叫んだことでスタートした抗争は日本マット界の流れを変えたと言っても過言ではない。長州の叫びは、当時としては考えられない団体内の序列を崩す発言だったし、この藤波vs長州から日本のプロレスは日本人vs外国人から日本人対決が主流になり、それはやがて全日本プロレスにも波及していく。さらにファイト・スタイルにも変革をもたらした。ロープワークをふんだんに使ったノンストップの攻防はハイスパート・レスリングと呼ばれて注目された。その戦いの中で藤波は長州の得意技のサソリ固めを逆に仕掛けて「掟破りの逆サソリ!」というフレーズが付いたが、相手の得意技を使うことは本来ならばタブーだった。藤波と長州はそれまでの日本プロレス界の風潮をことごとく破ったのだ。だからこそ2人の抗争は名勝負数え唄としてファンの心に焼きついたのだろう。

 そして昨日の超満員の観客である。ハッキリ言って、最近のプロレス会場の客層とは違っていた。彼らは何を求めて足を運んだのだろうか? ノスタルジーか、純粋に藤波と長州の久々の一騎打ちを観に来たのか? 今のプロレスにないものを求めに来たのか? 理由は何でも構わない。とにかく人を振り向かせる、足を運ばせることが重要だ。

 当たり前の現実として藤波も長州も全盛期の動きは出来ないし、使えなくなった技もある。そんな中で彼らが平成の時代に何を提示するのかを私は注目していた。かつて清原和博が「心技体の最後に残った心で戦いたい」と言ったが、私が観たかったのは藤波と長州の昭和プロレスに生きた人間ならではの殺気であり、心だ。その意味では両者とも現状の自分を見つめた上で精一杯の闘いをやってくれたと思う。長州は昨年暮れからサイパンに行って心と体を作り上げた。対する藤波は昨年12月16日に総胆管結石の手術をしてドクターストップがかかった状態だったが、心が折れることなく出来る限りコンディションを作ってリングに上がった。果たしてリングで対峙した2人の気持ちはスパークした。私とすればそれで満足である。

 ただ、この試合を「素晴らしかった」と手放しで絶賛する気はない。そうしたら今の時代の最前線に立っているレスラーたちに失礼になってしまうからだ。ただ、心技体が充実している今が旬のレスラーたちも藤波、長州の戦う姿勢や立ち居振る舞いには学ぶべき点は多いのではないか。プロレスは伝承され、進化していくものだと私は思うのだ。

投稿者 maikai : 12:07 | コメント (1)

2011年01月09日

ノアの戦い初め

 昨日はディファ有明でノアの2011年戦い初め。丸藤率いるM’s軍とKENTA率いるK’s軍の対抗戦というゲーム性の高い大会だった。客席はそれぞれの応援シートに分かれ、勝ち軍のシートのお客さんにはお年玉がプレゼントされる(負け軍によるバトルロイヤル観戦だった)というものだが、こうした仕掛けがあるとお客さんの勝敗への興味、こだわりが増す。今のプロレスは勝敗よりも内容が重視されている傾向が強いが、やはり原点は勝ち負け。その意味では今後へのヒントになる試みだったと思う。メインの丸藤&田上vsKENTA&雅央への2派に分かれての声援は半端ではなかった。

 ジュニアはキッチリ自己主張する丸藤、常に尖がっているKENTA、これまた自分のポリシーを貫く青木という存在によってピリピリした緊張感があるが、ヘビー級戦線は競い合っていても“団体のため!”という一体感があり過ぎて、いまひとつ対決ムードが生まれにくいというのがこれまでのノアだった。DISOBEYも潮﨑らの新ユニットも「面白くしたい」というだけでなく、もっと強烈に自己主張してほしいと思うし、GHC王者・杉浦のファイトが過激なのだから、その杉浦に心底から喧嘩を売るような人間に出てきてほしい。ノアの黎明期は秋山が毒を吐くことで活況を呈した。その秋山は1月15日からリングに帰ってくる。

 去年の段階で四天王カラーからは脱却したノア・ヘビー級戦線。それは杉浦が過激に突っ走ったからである。では2011年、そこに新たな渦を起こすような劇薬を投入するのは誰なのか? 森嶋か、潮﨑か、ヨネか、谷口か!? あるいはベテランの秋山なのか? まずはそこに注目したい。

投稿者 maikai : 14:29 | コメント (0)

2011年01月05日

東京ドームで感じたこと

 昨日は新日本のドーム大会。私は1・4東京ドームを正月のプロレスのお祭りであり、普段はプロレスを観ない人たちに対するサンプラーだと思っている。その意味では難しいことを抜きに楽しい大会だったと思う。

 イベントの進行及び演出はもはや言うことはないし、ルチャ、TNAのアメリカン・プロレス、ジュニアの究極のカード、遺恨マッチ、対抗戦、新日本の昨年の流れからの本流の戦い、そしてIWGP戦…と、一つの大会で様々なプロレスが提供される。全13試合というのは多過ぎる気がしたが、ちらし鮨のように多くのものが楽しめるだから、贅沢というもの。その中で観た人たちが自分の好みの選手、試合、団体をそれぞれチョイスしていけばいいと思うのだ。

 試合をひとつひとつ書いていくとキリがないので、私の個人的な好みだった試合を挙げると、まずは矢野vsRVDのハードコアマッチ。矢野のプロレスの幅の広さが認識できた試合だった。永田vs鈴木の“闘い”が全面に出ていた一騎打ちはやはり私好み。デヴィットと飯伏のIWGPジュニア戦は広いドーム空間に伝わる試合だったと思う。やはりドームにはこういう試合が必要だろう。

 後半戦では中邑vs潮﨑、真壁vs田中、小島vs棚橋の3試合はいずれも面白かった。中邑vs潮﨑はボマイェとチョップの激突を基盤としたわかりやすいものだし、真壁vs田中は小細工のいらない試合。小島vs棚橋はドーム大会という特別な中でキッチリと見せてくれた。棚橋はラリアット封じのための右腕集中攻撃というプロレスの基本に沿った攻めを展開したことについて「泥臭い動きになって、俺らしくないけど…」と苦笑していたが、それによって試合がきちんと成立した。以前、ある団体のレスラーが「棚橋さんって派手な今風のレスラーに見えますけど、実際には地味ですよね。オールドスクールのレスラーだなって思いますよ」と言っていたが、私もその通りだと思う。ハイフライフローという実は単純な技を説得力あるフィニッシュ技に持っていく試合の組み立てには常に感心させられる。

 また、時代の最先端を行くデヴィットが「オールドスクール・スタイル、ニュージェネレーション・スタイル、スーパージュニア・スタイル、あるいはヘビー、ジュニア、ルチャ・リブレ、ストロング・スタイル…いろいろプロレスのスタイルの見方があるけど、自分の考えとしてはプロレスをひとつのものとして、より良いものを作っていきたい」とコメントしていたのが印象的だった。

 バラエティに富んだドーム大会を観ると「プロレスのキャパシティは広いな。それこそ何でもありだな」と痛感させられるが、根っこはひとつ。プロレスは時代に対応して変化していくが、その根っこを忘れなければ大丈夫だという気がした2011年1月4日だった。

投稿者 maikai : 15:11 | コメント (0)

2011年01月04日

鈴木みのるの闘い2011

 1月2日、全日本プロレスの後楽園ホール。開場前に選手、関係者に新年の挨拶をして回った。私の顔を見つけた鈴木みのるは「今日のコラム、読んだけどさあ、俺を全日本から撤退させようと思ってんの?」とニヤリ。

「今日のコラム」とは毎週日曜日に更新している週プロ・モバイルの『サンデー・小佐ポン』のことだ。1月2日更新分で鈴木みのるの今後に注目しているという主旨のコラムを書いた。要は昨年8月、諏訪魔に三冠王座を奪われた以後のみのるには明確な闘いのテーマがなく、最強タッグでの船木とのコンビ結成は青春の集大成であり、自分自身とも向き合う大切な時間だったこと。結果、全日本ではすべてをやり尽くしてしまったという内容だ。その上で1・2後楽園での武藤&船木とのトリオ結成、1・3後楽園での武藤と組んでのvs船木&AKIRAで新たなテーマが見つけられるかによって進路が決まるだろうと書いた。

 それにしても更新日の午前中にそのコラムをチェックしていたのだから、相変わらずみのるのアンテナには感心した。そして、ニヤリと笑った後に「まあ、見てなよ」という表情を浮かべた。

 1・2後楽園では武藤のテーマ曲で入場したみのる。逆に1・3後楽園では『風になれ』でみのると共に入場した武藤が「風になれ~」のサビの部分でみのると同時にリングイン。それは新鮮な光景だった。

 果たして、みのるは新たなテーマを見つけたようだ。昨年は超党派軍を結成して全日本マットで世代闘争を繰り広げたが、今度のテーマはもっと大きい。それは“時代との闘い”だ。

「三冠を落としてから明確な敵がいなかった。“俺は誰と闘ってんだ?”って。そういう葛藤があった。でも今日(3日)見えてきた。これは俺ひとりではできないことだ。この間、プロレス大賞の表彰式があって、それが新しい時代なのかなとも思うけど、でも“それがプロレスかい?”って、俺は思ってる。俺が好きなプロレスはそれじゃないと思ってる。それを自分の体で表現していく。時計の針を逆戻しするように映るかもしれないけど、今の状況が間違っていたら、時計を正しい方向に逆戻しすればいい。俺が体で証明してやる。俺は本物のプロレスを持ってるよ。自信あるから」

 そこには同時代を生きた武藤、船木の力も必要だろうし、全日本の枠を超えたムーブメントが頭にあるようにも思える。

 今日は「90年代のバブルで生まれたダメ人間」(永田のこと)と東京ドームで一戦を交える。ここでは何を訴えかけるのか!? 2011年の鈴木みのるに注目したい。

投稿者 maikai : 13:52 | コメント (0)