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2010年05月03日

素顔をさらけ出した策士

 まずは1ヵ月以上もダイアリーを更新出来なかったことをお詫びします。その大きな理由としては目の前の仕事、その他、日々の諸々のことでエネルギーを使い果たしていたことにあります。

 このサイトは仕事ではありません。だからといって単なる趣味でやっているものでもありません。今、決まった媒体を持っていない私にとっては、何かを発信する重要な場所。エネルギーを使い果たした後に何かを書くのにはためらいがありました。皆さんに対しても失礼になると思ったからです。

 多くのコメントをいただいたり、知り合いから心配されたり、あるいはカメラマンの友人からは「死亡説が出てるよ!」と言われたりしましたが、あえて自粛させてもらっていました。正直、いつから再開するべきか、タイミングを見ていたことも事実ですが、今日からリスタートします。またストップする時期が来るかもしれませんが、その時はご容赦を。

 ということで、久々に書くのは昨日のノア日本武道館の『グローバル・リーグ戦』について。今回の「ノア最強は誰かを決める」が謳い文句だったリーグ戦の主役は紛れもなく秋山準だった。

 私が人間・秋山準に初めて接したのはすでに四天王に食い込む位置まで来ていた96年。92年の入門当時、私はSWS騒動から全日本に背を向けていて(全日本からすれば出入り禁止)、94年夏に週刊ゴングの編集長になってからは、再び全日本に出入りするようになっていたものの、すでに担当取材記者ではなかったので若い選手と話をする機会はほとんどなく、秋山と会話をすることもなかったのだ。

 96年11月、久々に全日本の札幌大会に出張に出た私は試合後に全日本担当の鈴木淳雄記者に誘われて秋山、泉田純至と飲みに行った。プライベートで初めて会った当時の秋山はちょっと斜に構えている感じで愛想もいいタイプではなかったが、元々クセがあるタイプの人間が好きな私は逆に好感を持った。そして親しく話すようになっていくうちに彼のプロレス観にも惹かれるようになった。

 三沢光晴、小橋建太という太陽を見てきた秋山は、若い頃から「自分はベルトを取ってトップになれても、主役になれる人間ではない」と自分を冷静に分析していた。だから試合になると相手をコントロールしつつ、相手の力を引き出しながら、最終的には勝っても負けても自分の価値を下げない戦い方を身に付けていたし、自分の関わる試合については常に何か話題を作っていた。「それは自分自身に自信がないからやるんですよ。三沢さんや小橋さんだと試合だけで魅せられるというのがあると思うんですけど、僕はその自信がないからプラスアルファを付けるんですよ」と笑っていたことがある。

 そうした職人肌的なところが、いつしか“策士”と呼ばれるようになり、昔からの秋山ファンにとってはたまらない魅力なのだろう。逆にそんな面が大ブレークしなかった理由だとも思う。

 そして今、40歳になった秋山は若い世代からおっさん呼ばわりされて世代交代を迫られ、ファンからは「頑張ってくれ!」と祈りにも似たコールを送られる立場になった。

 そんな状況での今回のリーグ戦。私は日本武道館のパンフレット用のインタビューのために開幕前に秋山に会った。秋山は今回のリーグ戦を「相手云々ではなく自分自身との戦いですよ」と言った。

「とにかく“いい試合をやりたい!”っていうのが一番で、その時、その時を一生懸命やることしか出来ないですね、今は。昔、小橋さんがことあるごとに“一生懸命に…”って言ってて、僕は“ナニが一生懸命だよ”って思いましたけど(苦笑)、でも、そうです。今はそれです。今になって上の先輩に言われたことがひとつずつわかってきましたね、やっと」
「多分、今から僕がリング上で出す感情は素のままだと思うんです。だから過去も未来も関係なくて、今の僕を見てくれて応援してくれる人に何か少しでも返せたらと思いますね」

 気負っているわけでもなく、悲壮になっているわけでもなく、自然体で語ってくれた秋山は、それを今回のリーグ戦で体現してくれたと思う。昨日の杉浦との公式戦、高山との優勝決定戦もそうだった。自分自身を奮い立たせるように咆哮し、思うように動かない自分の体に悔しそうな表情を浮かべ、そして最後は高山のエベレスト・ジャーマンに散った。気迫、覚悟、弱さ、悔しさ…すべてをさらけ出した秋山の姿がそこにあった。

試合後のコメントで「体調が悪くて、思うように体が動かなかった、そういう中でファンの声援が凄い力になったし…」と言った時の秋山の目に涙が滲んだ。こんな秋山を見るのは初めてだった。

「ここで一花咲かせて、もういいかなって言う気持ちもありましたけど、杉浦に散らされることもなかったし、一花咲かすこともできなかったし、まだ蕾のままかなと。それはそれでよかったかな。まだ行けるっていう自信も付いたんで」

 これから秋山がどんな生きざまをリングで見せつけてくれるか!?  かつて相手をコントロールし、客を掌に乗せ、言葉でも完全武装して“策士”と呼ばれた男は、年輪を重ねて40歳になり、弱さも何もかもさらけ出せるようになった。策士時代の秋山も魅力的だが、そんな素の秋山も魅力的だ。そこには若い人間にはない“味”がある。

投稿者 maikai : 2010年05月03日 14:47

コメント

いやあ 秋山準には心撃たれましたね。最近の動きを見ててもう駄目かなあと思ってたんですけど… また一層応援したくなりました。

投稿者 クッション : 2010年05月03日 17:27

小佐野さん復活おめでとうございます。
先週金曜日にGスピリッツ第15号購入しました。
まだ全て読み終えたわけではないですけど、ヒロ斉藤選手のインタビューが一番ためになりました。今までのGスピリッツでは同じテーマで2号連続はなかったと思いますが、初代タイガーマスク選手で2号連続続けて欲しいです。

投稿者 博士 : 2010年05月03日 21:07

 ダイアリーの更新があってホッとしました。他のところ更新はないのですが見見ることができたのですが、ここを見ようとしても何も写真も文字もで出てこないのでシステム上のトラブルかな?と思ってました。本当に仕事持ちながら更新というのも大変ですよね。でも小佐野さんの更新も待ち遠しいです。自分が言うのもおこがましいですが無理はしないでください。更新できないときは、更新できないと記載する方々もいますから。
 グローバルリーグは、私も仕事忙しくて(汗)G+で見ることができませんでしたが、このように試合が終わった後のことをフォローする記事は、良いですね。秋山選手の発言をいろいろな記事で見ると地味ながら活性化を行ってますが、今一大爆発できないところに自分は、歯がゆさを感じてましたがこれからも応援したいなという今回の小佐野さんの更新でしたね。

投稿者 マサ札幌 : 2010年05月03日 23:00

お帰りなさい(笑)待ってましたよ!
秋山選手、デビューから、ずっと見てるんで...
同じ40代だし...これからも応援しますよ!!

投稿者 岐阜人 : 2010年05月04日 15:31

折りしも昨日、若林さんから小佐野さんが体調を崩されていたと伺ったので、安心しました。

秋山も高山も、年齢的に一日二試合というのは非常に過酷だったと思います。
それでも、一試合目から力をセーブすることなく、懸命に戦っていた姿が印象的でした。

投稿者 拷問コブラ : 2010年05月04日 20:36

まずは、お帰りなさい、と。
何かあったのでは無いかとハラハラしておりましたが、ご無事なようでなによりです。

秋山はやっぱり素晴らしいレスラーですよね! 勿論高山も。
団体問わず、40代のレスラーにはまだまだいける!って言う所を見せて欲しいですよね。
長いこと見ている分だけ、思い入れが強いと言うのもあるんですが、それだけでは説明しがたい感情を抱いています。
何でしょうね、この気持ち。

投稿者 DAME : 2010年05月05日 12:21

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