« そこにはLOVEとリスペクトがあった | メイン | 新生ノア出帆 »

2009年07月11日

涙の向こうに見えた確かな未来

 昨日は新木場で高木三四郎vs飯伏幸太のワンマッチ興行。これは6・28後楽園のメインのはずだったが、試合の3日前に飯伏が感染性の急性咽頭炎で緊急入院を余儀なくされたことで日を改めて行われたもの。8・23両国のメインであるKO-D無差別級王座挑戦者決定トーナメントの決勝戦だけに、どうしてもやらなければいけない試合だったのだ。ちなみにDDTのワンマッチ興行は2000年7月13日の渋谷club ATOMでの髙木vs大仁田厚以来となる。

 6・28後楽園のチケット半券を持参した人は入場無料。試合開始30分前の7時半には約200枚の整理券が出ていた。最終的な観客動員数は394人。金曜日の夜は誰もが忙しいことを考えれば、よくぞ1試合のために新木場まで足を運んでくれたと思う。

 DDTといえば、いろいろな趣向で楽しませてくれる団体だが、昨日はこの1試合だけ。これだけでお客さんを満足させなければいけない。そして試合の性質からして、勝敗が一番大事になってくる。そんな状況の中、高木も飯伏も余分なものはすべて削ぎ落としてプロレスの勝負だけで魅せてくれた。高木は飯伏が痛めている左腕、あるいは10分過ぎに痛めた左足に集中攻撃。3日前からようやくトレーニングができるようになったという飯伏は「体を使う感覚が戻っていないし、スタミナ的には不安」ということで無闇には飛ばない。お互いに勝負にこだわった戦い方に徹した。

 試合が動いたのは30分近くになってからだった。飯伏がテーブルに寝かせた高木めがけてコーナーポストからフェニックス・スプラッシュ! これで高木が右膝を負傷してしまった。もっとも、観る者が高木の負傷に気付いたのは試合後のことで、高木はそれを感じさせずにラリアットなどで反撃。最後は飯伏がフェニックス・スプラッシュで強引に髙木をねじ伏せた。試合時間は実に31分53秒。それでも間延びした感じはなく、緊迫感のあるいい試合だった。恐らく高木は、両国に向かう上でこうした試合をしておかなければいけないと思っていたのではないか。

「試合を延期してもらって、イメージ・トレーニングが十分にできたことで勝てたと思います。高木さんとは今まで何回もやってギリギリのところで負けたていたけど、今日は自分のやりたい“プロレスごっこ”で挑みました。両国は自分の“プロレスごっこ”の集大成。それを見てもらう場です」と飯伏。“プロレスごっこ”とは飯伏ならではの表現。ヘンな意味ではなく、それが飯伏の一点の曇りもないプロレス愛なのだ。

 一方、敗れた高木は「負けて悔しいっていうのが一番大きいね。同時にDDTの未来を見せてほしいね、共(飯伏とHARASHIMA)にね。俺に勝ってるんだから。両国の俺のカードはなくなっちゃったけど、俺はみなさんが思っているより大人げないんで、大人げなく行きますよ!」

 そして高木は「何かありますか?」と私に振ってくれた。いつも高木は私の顔を見ると、そうやって振ってくれる。私が注目していたのは悔しさを露にしながらも、試合後に勝者・飯伏、王者HARASHIMAを抱き寄せて、目頭を押さえて花道を引き揚げた場面だった。そこで「涙腺を刺激したのは、何だったんでしょう?」と聞いてみた。

 たちまち表情を崩した高木は「これを言っちゃうと、俺はちょっと…。未来を見せられる連中が出てきて、ここまで育ってくれた。自分の中ではそれが一番嬉しかったです。俺たち(のベテラン勢)がいない両国(のメイン)に行ってくれて本当にありがとう。そして共に戦ってくれる仲間たちに感謝しています。負けた悔しさより、それが一番嬉しかった…」と言ってボロボロと涙をこぼした。キャラを壊してしまう無粋な質問だったと少し反省しつつも、この涙には大きな意味があると思う。DDT、いざ両国へ!

投稿者 maikai : 2009年07月11日 15:56

コメント

コメントしてください




保存しますか?