« カブキさんと家族の10年 | メイン | リバイバルからリアルタイムへの正念場 »

2008年11月04日

ムタとみのるの妙味

 昨日は両国国技館で全日本のPPV解説。解説の仕事というのは、リング上のその場その場の局面を追うために試合の全体像が掴みにくいのだが、丸藤と近藤の世界ジュニア戦は好勝負だったと思う。

 初対決でありながら相手の戦術を読み合い、裏をかき…という攻防は2人のこの一戦にかける意気込みと技量の高さを示していたし、先の10・25日本武道館におけるKENTAとの60分時間切れで評価が分かれた丸藤は改めてプロレスラーとしての力量を見せつけてくれたと私は思っている。

 37分55秒の熱闘だったが、やはり丸藤の方が一枚上。近藤は精一杯、丸藤は八分の印象を受けた。丸藤は静と動を巧く操る。静の時も休んでいるのではなく、その先の試合の流れ、相手の出方をきっちりとシミュレーションして、その上で動に転じる。そんな丸藤を攻略するのは並大抵のことではないだろうが、全日本のジュニア戦線が丸藤効果でレベルアップしていくことを望みたい。

 メインのムタvs鈴木みのるは観客、PPVを観たファンにはどう映ったのだろうか? ヘッドセットを付けていたために客席の反応は掴みにくかったが、セミの世界ジュニア戦とは打ってかわってシーンとしているように感じた。セミでお腹いっぱいになってしまったのか? それとも見入っていたのか?

 私的には、この試合ではムタとみのるがレスラーとしての純粋な力量にプラスしてプロレス頭を競っていたのように感じた。「ムタと武藤敬司は同じじゃねぇか。俺には魔界なんて通用しない」と言っていた鈴木は頭髪もタイツもシューズも白黒にしてのリングイン。「俺の中にも陰と陽がある」というメッセージに受け取れた。きっと、みのるなりにムタという存在、ムタ・ワールドを消化して試合に臨んだのだろう。

 共に自分の間合いをきっちりと持った選手だけに、どちらかが敢えて相手の領域に踏み込まなければ試合は成立しない。踏み込んだのはみのるだった。結果、みのるはムタに飲まれてしまった。

 この試合の大きなテーマになったのは毒霧だ。10・23弘前でムタの闇討ちに遭い、毒霧を浴びたみのるは「あんなものは通用しない。逆にてめぇに毒霧を飲み込ませてやる」と宣言。このタイトルマッチでも一度はムタの口を塞いで逆噴射させ、その後の毒霧もかわしてみせたが、終盤、フォールに行こうとしたところで下からムタが3度目の毒霧。ムタはみのるの口めがけて噴射し、みのるは毒霧を飲み込む羽目になった。

 その後、ムーンサルト→シャイニングで決着がつき、呆気ない幕切れに客席は騒然となったが、ムタがみのるに毒霧を飲み込ませた時点で2人の勝負は着いていたのである。

 ただし、これが客席に、PPVを観ていた人に伝わったかどうか。改めて試合をジックリ観れば、随所にムタとみのるならではの妙味があると思うのだが、それがちゃんと伝わらなければ意味はない。そこがプロレスの難しいところだ。

投稿者 maikai : 2008年11月04日 13:37

コメント

週刊プロレスの宍倉です。「Gスピリッツ」最新号を拝見しました。すごく面白くて、夢中になって読み、気がついたら、終電になっていて、あわてて帰りました(笑)。「熱血プロレスティーチャー」の小佐野氏とは対照的に、私は「プロレスうつ病」です。でも、そんな私の胸にもビンビンと響く内容でした。秋山選手、丸藤選手、池田選手、諏訪魔選手…こんなことを考えているのか、レスラーもこんなに悩んでいるのか、いろんなことを考えさせられました。11・3両国でいちばん印象に残ったのは諏訪魔選手と平井選手が「カタくなった」シーンです。私はPPVの再放送で見ましたが、ムタvsみのるはかなり見応えがありました。たぶん会場では面白くなかったと思います。でも、諏訪魔選手も言うように、やはり鈴木みのる選手には大切な何かを感じます。最後に高山選手が助けに来たシーンは、悪いガイラを助けに来たサンダを思い出しました。怪獣映画の話です(笑)。わかった人がいたら、うれしいです。私の好きな怪獣映画のベスト3に「サンダ対ガイラ」は入るので。小佐野氏、また会場で会ったら、ゆっくり話しましょう。

投稿者 宍倉清則 : 2008年11月04日 23:07

コメントしてください




保存しますか?