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2008年06月15日

険しきチャンピオンの道

 昨日の横浜文化体育会館。杉浦貴相手にGHCヘビー級王座初防衛を果たした森嶋猛は「ああーっ!」と悔しさ混じりの雄叫びを上げ、日本テレビのリング上での勝利者インタビューで、
「不甲斐ない試合をして、すみませんでした。僕はチャンピオンとしてまだまだやっていかなきゃいけないことがあります。守りに入らず、攻めていきます。誰でも挑戦を受け付けます。今日はすみませんでした」
 と、客席に謝罪してリングを降りた。

 森嶋は昨年ROHで世界王者になり20回の防衛を果たして、多くを吸収した。だが、ROH世界王者とGHCヘビー級王者は役割が違う。ROH世界王者時代はどんな相手とでもいい試合をすることが義務付けられていた。つまり、ジュニア・ヘビー級の相手でも接戦になるようなファイトを求められていた。接戦の上で最後は勝つ。アメリカのチャンピオンの定番スタイルである。

 これによって森嶋のファイトの幅は広がったが、ノアの頂点に立った今は強さを前面に出さなければいけない。もちろん、森嶋はそのことを理解している。

「僕の大きさを表すには“キレイな試合”“いい試合”だけじゃ駄目だと思うんですよ。これからは圧倒的な試合も必要だと思います。“こんなに大きい人が、こんなに暴れちゃうの?”というのを体現していきたいんです」 と森嶋は言っていた。

 だが、昨日の試合はハッキリ言って杉浦の試合。アマレスの猛者だった杉浦は「重さじゃないんですよ。手がクラッチできれば、どんな相手だって投げられるんです」と言っていたが、その通りに公称145キロ(実際は150~160キロ?)の森嶋の巨体をジャーマン、ドラゴンで何度も投げ飛ばし、オリンピック予選スラムでも叩きつけてみせた。

 これを森嶋が敢えて受けていたと言ったら、杉浦がかわいそうだ。森嶋が接戦に持ち込んだのではなく、杉浦が攻め込んだ試合だったと断言できる。体格差を感じさせない真っ向勝負をやってのけた杉浦を評価するべきだ。ただ、投げられたことに関しては、森嶋は踏ん張ることができたのではないかと思う。

 ここでまた、別の森嶋の要素が出てくる。若手時代に徹底的に受け身の練習をやらされた森嶋は、自分の受け身の技術に絶対の自信を持っている。だから、あのパワフルな杉浦がスープレックスを仕掛けてきたら、下手に踏ん張ってヘンな角度で強引に投げられるよりも、自ら身を預けて受け身を取った方がリスクが少ない。戦法としては正しいのだが、“怪物・王者”としてはリスクを負っても踏ん張ってほしかったと思う。森嶋を投げることが大きな話題になるくらい、頑なに投げ技を拒絶してほしいと思っているのは、私だけではあるまい。

 最後は、あの巨体から「まさか」のムーンサルト・プレスというサプライズからバックドロップで決着。実際、森嶋は運動神経もいいし、器用なレスラーだ。器用で、様々な要素を持っているから逆にファイトに迷いが出ているのかもしれない。いろいろなことができる中で、何を捨てて、何を磨くか…王者の道は険しい。

 昨日の防衛戦で反省が最初に来るのが森嶋のいいところであり、志の高さの表れだと思う。だが、規格外の大きさがあるのだから、あまり考えすぎずに本能のままに、好き勝手に暴れてほしいという想いもある。私は、個人的には常識では測れない破天荒な王者像を森嶋に望んでいる。

投稿者 maikai : 2008年06月15日 16:18

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