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2008年05月20日

『息吹』の精神

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 昨日のサムライTV『S-ARENA』には先々週に引き続いて江本敦子、大畠美咲とともに吉田万里子が登場。前回出演してくれた松本浩代といい、今回の江本&大畠といい、『息吹』に参加している選手は、ただ試合をしているだけでなく、ちゃんと自分を持っているんだなと感じた。吉田の「若い選手にチャンスの場を提供したい」という気持ちと、選手たちの「チャンスを掴みたい」という気持ちが相乗効果になって、緊張感がある、競い合いがあるリングが生まれている。

 江本は『息吹』を契機にグーンと伸びた選手。チャンスを与えてもらったのは確かだが、そこから先は自分の力で伸びてきた。今回の3周年記念トーナメントの大本命だ。

「みんなより何歩も先に行っている自分はもっと先を見ているんで、優勝するのは当然です」と、本人は言い切る。この江本を振り向かせられるのは松本か、渋谷か、小林か? そこには確かに戦いがある。

 トーナメント1回戦敗退の大畠は、セミでRayと組んで吉田万里子&木村響子と激突する。ここは何が何でも成長を見せつけ、先につなげなければいけない。

 オバマ候補の演説ではないが、『息吹』にはCHANGE、HOPE、そして“YES,WE CAN!”という前向きな空気がある。

投稿者 maikai : 10:22 | コメント (1)

2008年05月19日

大仁田ワールド

 昨日は有明コロシアムの『戦極』ではなく、新木場のLOCK UPへ。そう、大仁田厚の復帰戦だ。

復帰は今回が5度目。12日に『S-ARENA』で久々に会った時にはダイエットして77キロだと言っていた。果たして、それでプロレスが出来るのだろうか? だが大仁田は見事にやってのけた。実際に出した技はDDO(デンジャラス・ドライバー・オーニタ)ぐらいだが、対戦相手も観客も掌に乗せて、大仁田ワールドを創ったのだ。

 全日本の後輩・越中と組んで、金村&折原と対戦。金村の大仁田嫌いは有名だし、この新木場はかつてのアパッチプロレス軍の本拠地であり、あのセクハラ騒動から初めての金村登場に多くの観客は歓声を送り、大仁田にはブーイングを浴びせた。だが、これは大仁田にとって想定内だったろう。ファンを煽り、熱くなる金村を煽り…気付いてみれば「もう、大仁田なんか見たくないんだよ!」と吐き捨てていたファンが、大仁田にマジになってブーイングを浴びせている。大仁田ワールドに引きずり込まれているのだ。

 そして金村は、大仁田に食らわすことができなかった。一瞬でもいいから大仁田がたじろぐような場面を密かに期待していたのだが、完全に大仁田の掌の上に乗せられ、そこから一歩も出ることができなかったのである。最後は大仁田がイス攻撃からの毒霧で反則負けとなったが、実際は大仁田の完勝と言っていい。

「ファンに媚びるつもりはねぇ! リングに上がったら、そのレスラーのリングじゃ! 長州! 今度、俺と組まなかったら、縁切りじゃ!」(大仁田)

 長州はそんな大仁田の場の空気、観客の感情をキャッチして転がす感性を認めている。この2人の合体はどんな化学反応を起こすか!? こういう形で大仁田に触れたということは、長州にとって過去の名声を白紙にしかねないリスクを伴った勝負ということになる。

投稿者 maikai : 11:06 | コメント (0)

2008年05月16日

ノア5~6月ツアー開幕

 昨日は後楽園ホールでノアの5~6月ツアー開幕戦。点から線につながるラインナップになっていた。第2試合では明日のディファ有明でGHCジュニア王座を賭けて激突する王者・金丸と岸和田がタッグ前哨戦で火花を散らし、第3試合では鼓太郎が石森をシングルで撃破してGHCジュニア・タッグ王座への挑戦をアピール。その結果、6・1札幌でKENTA&石森に鼓太郎&マルビンが挑戦することになった。

 5・23新潟でのGHCタッグ戦に向けて丸藤&杉浦とバイソン&彰俊も6人タッグでエンジン全開。さらに青木が十番勝負第4戦で元ROH世界王者のブライアン・ダニエルソンにアタック、セミではROHの雰囲気そのままに、王者マッギネスとKENTA、BJホイットマーが挑戦する3WAYマッチによるROH世界戦。メインには小橋建太が06年5月19日以来の後楽園ホール登場だ。2年前の小橋は多聞とのコンビで森嶋&ヨネが保持していたGHCタッグ王座への挑戦が決定していて、その試運転としてバイソン&ジェイソン・ベイツを撃破している。最終戦の6・4札幌で王座奪取に成功したが、それから3週間も経たないうちに腎腫瘍が見つかった。その時から今日までの2年間、そしてこれからも命懸けで戦い続けるのだ。昨日も目一杯のファイトを見せてくれた。

 さて、昨日の試合のベストバウトは青木VSブライアン。青木が果敢に左腕攻めに出れば、ブライアンはそれを上回るテクニックとバリエーションで青木の腕を逆に攻め立てた。ROHというと大技連発というイメージが強いが、ブライアンは“ここぞ!”というところでしか大技を出さず、試合の組み立てで魅せる選手。最後の決め技が三角締めというのも渋かった。青木にとっては勉強になったはず。そして6・14横浜での十番勝負第5戦では、これまた巧者の小川良成と対戦する。今もしっかりと自分の戦い方を持っているが、この十番勝負は、青木を今までと違ったタイプのジュニア戦士に成長させるに違いない。

投稿者 maikai : 10:31 | コメント (0)

2008年05月14日

あーちゃん

 昨日の『ハッスル・ハウスvol.36』での私のお目当ては髙田モンスター軍、ハッスル軍に次ぐ第3勢力として発進したボノちゃん部屋の新弟子あーちゃん。かつては天龍に対決を挑んでWARの若きエースと呼ばれ、全日本に入団してからもその巨体で期待され、肉体改造に取り組んだこともあるが、この1~2年はトホホなバカボンのパパになり、遂にはハッスルにまでたどり着いたのだ。

 その記念すべきハッスル・デビュー戦の反対側コーナーにはかつての師・天龍が。鬼のような形相の天龍にペットボトルを投げつけられ、チョップで胸を真っ赤にされ、グーパンチでアゴを直撃され…ある意味、期待通りの初戦になった。

 でも、私は今の荒谷も実は買っている。GAORAの全日本中継でボロクソに言ったりもするが、それはバカボンのパパのキャラを認めているから。あれを褒めたら、逆におかしいでしょう。

 トホホでいられるのも打たれ強くタフだからに他ならない。天龍にボコボコにされ、鈴木みのるに顔面が腫れるほど殴られてもトホホでいられるのはタダ者じゃない。そして、たまに攻めに転じればラリアットは重いし、あの体でムーンサルト・プレスもできちゃう。チャンピオン・カーニバルではグラビア・アイドルがゲスト解説に来たが、プロレス知識のない彼女たちが試合後に印象に残った選手のひとりとして必ず荒谷の名前を挙げていた。面白おかしくわかりやすいということもあるのだろうが、どうあれ、ちゃんとお客さんの印象に残るファイトをやっているのだ。

 こうした諸々のことを考えると、実は荒谷は凄いのである。ここからどう化けていくか、密かに期待している私がいる。

 さて、ハッスルそのものだが、5・24有明コロシアムにおける『ハッスル・エイド2008』が大きな転換期になりそう。ハッスル成功の一端を担ったインリン様の引退は大きいし、新たなものを打ち出さないと頭打ちなのは否めない。

 昨日は大阪プロレスのゼウスが乱入して、ラストは本当のバッドエンドだった。これは今までには考えられないことだ。また、これまではナンバーシリーズと『ハッスル・ハウス』シリーズに分けた興行形態だったのが、7月からは両シリーズを統合して『ハッスル・ツアー』に変わっていく。ちなみに7月の『ハッスル・ツアー』は6日=福岡国際センター、11日=後楽園ホール、27日=横浜文化体育館の3大会だ。旗揚げから4年半…ハッスルは変わる!

投稿者 maikai : 10:57 | コメント (0)

2008年05月13日

懐かしい人たち

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 昨日は懐かしい人に連続してお会いした。まずは後楽園ホールでの『昭和プロレス』ではジャパン・プロレスの会長だった竹田勝司氏、社長だった大塚直樹氏。23年前に担当記者としてお世話になった人たちだ。

 そして午後8時には会場を抜けてサムライTV『S-ARENA』のスタジオへ。ゲストは大仁田厚…この人も私にとって縁の深い人である。出会いは1981年のテネシー州ナッシュビル。私は19歳、大仁田は23歳。ちなみに一緒にいた渕は27歳。ウーン、みんな若い!

 思えば1989年のFMW旗揚げの際、私は結構、裏で関わっていた。そんな関係だったから、喋るのは実に5年ぶりだったが、何の違和感もなし。そして大仁田厚は…変わらず大仁田厚だった。

 来たる5月18日、新木場で越中とタッグを組んで金村&折原と試合をする。これについては批判的な声が多いが、本人は百も承知だろう。業界的に考えれば、金村との激突は“禁断の試合”なのだが、これも大仁田の希望だったのではないかという気がする。あり得ないこと敢えてやるというのが大仁田のスタンスだからだ。人の感情を逆手に取る、いつの間にか自分の流れに持っていく…骨の髄までプロレスラーだとつくづく思う。

 ハッキリ言って、今回の復帰については私もクエスチョン・マーク。これが5・18新木場でどう変わるか。大仁田厚のお手並み拝見だ。


投稿者 maikai : 09:33 | コメント (1)

2008年05月12日

全日本プロレス新章

 昨日から全日本プロレスは新しい段階に入った。まずは4・29名古屋でシルバー・キングを破った土方隆司が第26代世界ジュニア・ヘビー級王者として初の後楽園ホール。3年4ヵ月ぶりに本隊にベルトを奪回した土方は、三冠王者になった諏訪魔と同じくチャンピオンの重責を感じている。5・25神戸での初防衛戦に向かって早くもカズ・ハヤシと前哨戦で火花を散らしたが、ファイトぶりだけでなく、立ち居振る舞いにまで神経を尖らせているのが見て取れた。

 そしてメインでは三冠ヘビー級王者・諏訪魔とIWGP王者・武藤敬司がタッグを結成して、それぞれのベルトをお披露目。実に絵になるふたりだ。

 だが、私にとってインパクトが強かったのは、この王者コンビと対戦したGURENTAIの鈴木みのる&太陽ケアの方だった。あの鈴木みのるが『風になれ』ではなく、ボニー・タイラーの『Holding Out For A Hero』に乗って先頭で入場してきたのである。こんなちょっとしたところにも、鈴木みのるのGURENTAIというユニットでトップを取ってやろうという意識が感じられる。

 試合は諏訪魔とみのるがカーニバル公式戦を彷彿させるようなゴツゴツ、ギクシャクした攻防、武藤とケアのオーソドックスな攻防がミックスして見応えあるものに。みのるがムキになって諏訪魔に食ってかかり、それに対して諏訪魔が一歩も退かず…という中で、ケアがH5O、TKO34thで武藤を押さえた。結果的には王者組の作戦勝ち、しかもケアが初めて武藤をフォールしたという事実が大きい。

 喜びを爆発させるケア、それに対してみのるは手応えを感じながらも冷静だった。
「大きな前進じゃねぇよ。多少は大きいけど、あくまでも第1歩。たかが1本取っただけだ。行き場のないケアと勝ち残るしかない俺は崖っぷちだからな(苦笑)。ひとつずつ、ひとつずつ上がってやる。ケアはもっと出来るんだ。もっと出来るんだよ。なあ、GURENTAI、楽しいだろ?」(鈴木)
「GURENTAI、タノシイネ! デモ、トーキョージャナイヨ!」(ケア)
「ハワイでもねぇぞ。もっと日本語覚えろよ(笑)。全日本で何年だ?」(鈴木)
「ゼンニホン、14ネン!」(ケア)
「全日本14年の奴と、過去をひっくるめた全日本の歴史を変えてやる。どんな時代の全日本よりも、鈴木みのると太陽ケアの時代が一番面白かったって変えてやる。今、ここにある風景を根こそぎ変えていく。明日の栃木の客にだって、後楽園ホール、東京ドームと同じ、それ以上のクォリティーの試合を見せる。こっちの体が潰れるか、結果がついてくるか…覚悟はできてるよ。今日の相手はチャンピオン・コンビだったっけ? 空気読めなくてゴメンね。強過ぎちゃって(笑)」(鈴木)

 全日本に新しい風景をもたらすのは新王者たちか、必死のGURENTAIか? 全日本プロレス新章はこれまで以上にシビアなものになる。

投稿者 maikai : 11:51 | コメント (0)

2008年05月07日

1日中DDT

 昨日のゴールデンウィーク最終日はDDTデー。後楽園ホールで昼はDDTの純興行、夜は『マッスル・ハウス6』が開催された。

 どちらの興行にも新日本が参加。昼は獣神サンダー・ライガーが参戦してMIKAMIとタッグを組んで飯伏&柿本と対戦。MIKAMIは子供の頃にライガーのサイン会に行ったことがあるという。注目のライガーと飯伏の絡みは、飯伏が掌打をかわして引っこ抜くようなジャーマン、さらに三角飛びケブラーダを敢行するなど、見応え十分。飯伏との攻防はエンジョイしている風のライガーだったが、柿本にはシビア。掌打で吹っ飛ばし、投げっ放しパワーボム、ダイビング・ボディプレス、ラダーの上から雪崩式ブレーンバスターと畳みかけてジュニアのレジェンドの威厳を見せつける。最後は、その柿本がMIKAMIをスクールボーイに丸め込んだ。面白かったのは、ライガーが試合後のDDT勢のマイクのやりとりで吹いてしまったことだ。

「基本、リングの上では笑っちゃいけないって若い頃に教わっているのに、思わず吹いちゃったね(苦笑)。飯伏も柿本もいい選手でしたよ。ドラゴンゲートに出た時にも思ったけど、若い人間が元気いい団体は強いよ。若い力が元気ないと、その団体は潰れる。もっともっと上がりたいし、若い人間とガンガンやりたい。アントーニオ本多が好きなんだよね。あのマイクもファイトも。俺、結構(テレビで)観てるんだよ(笑)」
 と、ライガー。ライガーのことだから、単発の参戦に終わらせずに、これを何らかの線につなげることを考えそうだ。

 この昼興行のサプライズはメインの5WAYによるKO-D無差別級選手権の終盤にゴージャス松野コミッショナーの要請を受けて和田京平レフェリーが登場したこと。DDTはひとつの興行に新日本と全日本の人間を同時に上げたのである。

 夜の『マッスル・ハウス6』は例によって微妙なところを突いていた。今回のモチーフになったのはお笑い番組の『爆笑レッドカーペット』で、“プロレスも時流に合わせて試合時間を1分にして、より多くの選手を短時間に見せた方がいいのではないか”という考えのもとに次々に選手が登場、5人抜きを達成するまで1分1本勝負を延々と続けるというもの。登場する選手は、どインディー、学生プロレス、草プロレス、女子プロからはサソリとバラエティーに富んでいた。そこにはプロと学生が普通に試合をするという場面ももちろん生まれた。さらには西口プロレスも登場してマッスル軍と対抗戦に。プロレス・ファンが笑えるか、楽しめるか、その逆に嫌悪感を持つか、ドン引きするか…そのギリギリのラインを突くのがマッスルの世界。はっきり言って、リスクも大きいイベントだ。

 こちらのサプライズはラストの蝶野正洋の登場。憤怒の表情で登場した蝶野は「オイ、お前ら! リングの上でふざけたことしてんじゃねぇ! 代表者上がれ、コラ!」。ビビりながらリングに上がったマッスル坂井に「こんなことマジにやってんのか、本気でやってんのか、コラ! 本気を見せてみろ、俺に。張ってみろ、オラ!」

 ビビりながらも蝶野に張り手を見舞う坂井。次の瞬間、お返しの強烈な張り手が手術をしたばかりの坂井の左頬に命中! 蝶野の「辞めろ、この団体!」の一喝に坂井は「辞めます!」と即答。さらに蝶野は「オイ、クソ! ここで宣言したことを忘れるなよ!」と言い放つや、坂井の背中に何やらスプレーで描いてレッドカーペットを下がった。

 ちょっとした静寂、その後、ざわめきに包まれた後楽園ホール。オチはここから。抜かなければいけなかった坂井の親知らずが蝶野の張り手で抜け、背中の文字はnMo(ノー虫歯オーダー=虫歯のない秩序)。しかも蝶野が登場して去るまでの時間が、選手たちが延々と試合をしていた時間と同じ1分。つまり、蝶野は試合をせずに1分でこの大会一番のインパクトを残したというわけだ。となると、蝶野の怒りは仕込まれたもの? このリアルだったのか、計算された演出だったのかの曖昧さがマッスルなのだ。

 私的には楽しめるものだし、今、敢えてどうのこうの言う気はないが、丸1日観ていて、DDTもマッスルも分岐点に来ていることを感じた。今の段階ではメジャー団体の人間が出てくることがサプライズになっているが、それが“まさかのあり得ないこと”でなくなった時にどういう方向に進むのか。逆に言えば、それだけDDTの存在はプロレス業界内で大きくなっているということでもある。

 

 

投稿者 maikai : 10:51 | コメント (1)

2008年05月06日

石の上にも3年

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 昨日は蝶野プロデュース『PREMIUM』を休憩前の3試合まで観て、サムライTV『S-ARENA』の収録へ。第1試合の石井&本間VS高岩&崔は、石井と高岩がド迫力の真っ向肉体勝負。いつもはブーイングを浴びる本間がイスを使っても歓声を受け、ラリアット、ダイビング・ボディプレスを繰り出すと大歓声になるというのも何だか新鮮だった。

 第2試合ではスーパー・ストロング・マシン&ヒロ斎藤が邪道&外道相手に久しぶりのタッグ結成。マシン軍団、カルガリー・ハリケーンズ、ブロンド・アウトローズ、レイジング・スタッフと、常に行動を共にしているようでいて、ヒロは狼軍団、NWO、T2000を渡り歩いてきたから、10年近く組んでいなかったのだ。かつてジャパン・プロレスを担当していた私としては、コスチュームが背番号入りのリキ・プロダクション(現在のリキプロとは別)の時の物だったのが懐かしかったし、レフェリーの保永も結託してレイジング・スタッフが一夜限りの復活を果たしたのも良かった。これで後藤達俊がいれば…。

 第3試合は長州&越中&AKIRAのレジェンドと田中&大森&長井のゼロワンMAX&ドラディション連合軍が予想以上に激しくやり合った。田中将斗がラリアットで長州を吹っ飛ばせば、長州は雪崩式ブレーンバスターと一歩も退かない。試合後の田中の「俺らに対する“昔の名前で出ていますじゃない!っていう意地を感じた」というコメントは、長州を体感しての素直な感想だったと思う。

 さて、『S-ARENA』には5・22後楽園で自身がプロデュースする『息吹』の3周年を迎える吉田万里子と愛弟子の松本浩代が出演。今、現役を続けながらも後進の育成に情熱を傾けている吉田は、男子の試合にも顔を出す。そんな関係で女子プロレスラーの中では話をする機会も多い。

 実は私は1回も『息吹』の興行に行ったことがないから、ちょっと心苦しいのだが、それでも『息吹』というものにずっと注目していた。というのも、普通は自主興行をやるとなったらビッグネームを揃えるものだが、吉田は目先の利益ではなく、若い選手中心のものにしたからだ。

「女子プロも団体がなくなったりして、若い選手たちが活躍できる場、チャンスがなくなってしまったんですよ。だから私はみんなにチャンスをあげたいと。そのチャンスを掴めるかどうかは、あとは本人次第ですから」と吉田。そういえば昔、亡くなった冬木弘道さんが「若い選手を育てるには、とりあえず1回は誰にでもチャンスをやらないと。それで駄目だったら仕方ないってだけで、機会は等しくあげないとね」と言っていたことがある。本当にその通りだと思う。

 一緒に出演した松本浩代はキャリア2年に満たないのに、ちゃんとプロレスラーとしての自我を持ち、考え、主張ができる。もちろん、試合もとても新人とは思えない。「ああ、吉田が育てた選手なんだな」という印象だ。

 石の上にも3年…5・25後楽園では、これまでコツコツ積み上げてきたものの集大成が見られるに違いない。

投稿者 maikai : 10:33 | コメント (0)

2008年05月03日

飯塚のワルさに注目だ

 2・17両国で体調不良を訴え、その後、血流障害からの脳内出血と診断されて欠場していた永田裕志が昨日の後楽園ホールでリング復帰。元気な姿を見せてくれた。ゼロワンMAXとの対抗戦、IWGP王座が全日本の武藤に流出するという状況にあって、永田は「俺が帰ってきたからには、何の心配もないから」「俺が帰ってきたら、新日本プロレスは大丈夫だから」という言葉を何度も出していたのが印象的だった。冷え切った時代を知っているからこそ、今、ファンにどう語りかければいいかわかっているのだ。

「声援を送ってくれるファンに嘘はつけない。強い新日本プロレスに期待しているファンに嘘ついちゃいけない。“新日本を応援していてよかった”と思ってもらえるように頑張らなきゃ」と永田。やはり永田には新日本の支柱としての期待がかかる。

 さて、昨日の後楽園でもうひとり主役になった男がいる。4・27大阪で天山を裏切って電撃的にGBH入りした飯塚高史だ。飯塚=真面目のイメージがあるだけに本当にヒールになれるのか? かつては野上彰(AKIRA)とノリノリのはずのJJジャックスを結成したながら、ノレなかったイタい過去もある。

 だが、今回の飯塚は違った。坊主頭に眉毛まで剃った怖い顔はどう見てもヒール。右手を吊って負傷をアピールしながら、凶器サックを右手に装着しての地獄突き、さらにタイガー服部レフェリーをスリーパーで落とすという傍若無人ぶり。やりたい放題の上、ノーコンテストになって後楽園ホールは暴動が起きるのではないかというぐらい殺気立った。ここまでファンを怒らせたのだから、飯塚のワルさは本物だ。

「あの人は俺から見たら、前々から黒いよ。真っ黒だよ。正義ぶって会社のためにって忠誠を誓ってやっている奴ほど、内面は黒いんだ。あの人がGBH入りしたのは欲以外の何でもないよ。いいんだよ、それで。レスラーなんて欲張りなんだから」と真壁。飯塚の加入によって、またまたGBHは存在感を増していきそうだ!

投稿者 maikai : 11:54 | コメント (1)

2008年05月02日

私なりの見解

 今日は、いただいたコメントのいくつかに私なりの見解を書こうと思う。まず、ノアの武道館大会について。あの日は全8試合中、タッグマッチが公式戦3試合を含めて計5試合、残りの3試合は6人タッグだった。

 確かにこれは観る側に根性がいる。やっぱりシングルだって欲しい。この日はタッグリーグ最終日で、状況によっては何チームかの同率による優勝決定戦も考えられたため、何とか8試合に抑えて38選手を出場させたのだろうが、無理があったのは否めないところだ。

 私はノアについてこう思っている。2005年7月18日の東京ドームで一度ピークを迎え、そこから今日までの3年は新たな時代に移行するための挑戦が続いているのだと。シングルが少ないという声があれば昨年はGHC次期挑戦者決定リーグ戦というシングル主体のシリーズを組んだし、ジュニアを再び活性化するためにジュニア・タッグリーグ戦を開催して、そこからKENTA&石森というコンビが確立された。そして今回はヘビー級のタッグリーグ。もちろん、それぞれに反省材料があり、それをもとに航路を調節しているというのが今のノアだと思う。コツコツと続けているSEMは人材発掘の場であり、若手の経験の場になっている。中には成功もあるだろうし、失敗もあるだろうが、そうやって様々なことにトライする企業努力を私は買っている。

 もうひとつ寄せられた書き込みで気になったのは、武藤がIWGPを奪取した4・27大阪での新日本の菅林社長の「入場から嫌な予感がした。久しぶりに本当のスーパースターが出てきたという雰囲気になってしまった」というコメントに対する反発。私は大阪に言っていないし、菅林社長から話を聞いたわけでもないから、その本当のニュアンスはわからない。ただ、この文字の通りに喋っていたとしたら、ある意味で素直だなあと思う。当然、新日本の選手にとっては面白くない言葉だろうが、同時にこれは菅林社長自らに跳ね返る言葉でもある。つまり「新日本プロレスは武藤が抜けた後の6年間、武藤に匹敵するスーパースターを生み出せなかった」という意味でもあるのだ。

 多くの新日本ファンが「団体枠を超えたプロレス業界全体の経済効果」を主張する武藤敬司を支持しているのも事実。ただしレギュラー参戦は現実的には無理だから、いかにしてIWGP王者不在の新日本を立て直していくか…新日本のレスラー、そして菅林社長以下のフロントの力量が試される。

 最後に週刊プロレス顧問の宍倉さんからコメントをいただいた。私にとってはこの業界に入った時の先生のひとりでもあるわけで、嬉しい限りだ。

 ファンクラブ出身者がプロレス記者になるのは、学生プロレスがプロレスラーになるのと似ていると思う。昔は普通に大学を出て、新聞社に入社してプロレスに回される、雑誌だったらベースボール・マガジン社に入社してプロレス&ボクシング編集部に配属されてプロレス記者になるというパターンしか考えられなかった。そこにファンのような若い人間が記者として来るのだから「ファン上がりの記者は…」と批判されることもあったが、こちらとしては「ファン上がりだからこそ感覚はファンに近いし、仕事として入ってきた人間とは知識量が圧倒的に違う」というプライドがあった。

 ファン上がりの元祖が竹内宏介さんで、その竹内さんがファンクラブの人間から発掘したのが宍倉さんであり、清水さんであり、ウォーリー山口さん。私はその下ということになるが、そんな私を宍倉さんが同じ一期生として扱ってくれるのは光栄なこと。わざわざ書き込みをいただいてありがとうございました。

投稿者 maikai : 09:25 | コメント (1)

2008年05月01日

SEMに感じる明るい未来

 今、私が新人記者のような気持ちで観られるのがSEM。様々な団体の若手がまっすぐに技術と心をぶつけ合う姿が観ていて気持ちがいいのだ。凄くピュアな試合で、こちらの心も洗われるような気がするのである。

 昨日の第12回大会にはDDTから柿本大地、BMLから原学、和志組の宮本和志、エルドラドからベアー福田が初参戦した。

 第1試合で健介オフィスの健斗と対戦し、ドラゴン・スープレックスで快勝した柿本は前回大会では他のDDTの若手メンバーと一緒にセコンドに付いていた。

「前回はセコンドに付いたんですけど、レスラーなんだから“やる側”に回らないと。今回、DDTで呼ばれたのは僕だけだったんで、気持ちとしてはDDT代表…ひとり団体対抗戦でした。気持ちよかったです。多分、お客さんのほとんどは僕のことを知らないだろうし“ちゃんとレスリングできるのか?”って、厳しい目で査定されていたような気がします。新鮮な緊迫感がありました。こうやって同世代の人たちとガンガンやっていきたいですね。これからも上げてもらいたいです」
 と、柿本は充実感いっぱいのコメント。そう、普段とは違う相手、普段とは違う緊迫感が大事なのだ。

 平柳としばき合いの末に蹴り勝った原学は「やっぱタフだよなあ。試合数をこなしているだけある。けどさ、俺はノアの若い奴らより試合数が少なくても、こうやって結果を出せる。俺はメジャーとインディーの区別なんてないと思っているから、インディーと呼ばれている人間がメジャーを食うのを見ると励みになるし、俺もやってやろうと思っている。ノアに限らず、メジャー団体と言われている皆さん、怖くなかったら声をかけてください。いつでもやってやりますよ。村上一成イズムで乗り込んでやりますよ」と“らしい”コメントではあったが、試合ができる喜びは手に取るようにわかった。

 宮本和志は太田相手にパワーをフル回転させて勝利して「堪能しました。本当のプロレスの試合を久々にやった気がします。太田君は俺が忘れかけていたもの…初心を思い出させてくれた。デビューしたてでWAR軍に当てられてガムシャラだった俺を思い出させてくれた。太田君にありがとうと言いたいし、SEMを提供してくれたノアさんにもありがとうございますという気持ちです。今後もSEM、その上にあるノアに上がりたいと思います」。

 ベアー福田は闘龍門同期の南野たけしと組んでGHCジュニア・タッグ王者のKENTA&石森太二と対戦。かつてロス・サルセロス・ハポネセスなるユニットを組んでいた福田と南野だけにノンストップでKENTA&石森と互角のファイト。ユーモラスな雰囲気を封印してのまっすぐな戦いぶりは新鮮だった。最後は石森のスーパースター・エルボーで南野がフォールされたが、観客は福田&南野にも惜しみない拍手。

「この興行に初めて出て、いきなりタッグ・チャンピオンと戦えたのは嬉しいし、いい経験になりましたよ。お客さんにどう映ったかはわかりませんけど、次にやったら違う結果を出せると思います。確かに向こうのタッグワークは素晴らしいし、石森も進化しているけど、俺らだって進化していますから。次が楽しみですよ!」と、福田も南野も手応えを語った。いずれ、タッグ王座に挑戦という可能性を十二分に感じさせてくれる試合だった。

 メインの丸藤&青木VS中嶋&起田のノアVS健介オフィスは、残り試合時間2秒の19分58秒に中嶋が青木をジャーマンで仕留めるという熱闘。デビュー3ヵ月に満たない起田の健闘が呼び込んだ結果と言っていい。

 試合後、ちょっと面白いシーンがあった。丸藤が中嶋だけでなく、起田にも一本指を差し出して1対1をアピールするような仕草を見せると、礼儀正しい起田が頭を下げようとした。その瞬間に丸藤の張り手がバシーン! すかさず起田も大先輩の丸藤にビンタを返した。これに丸藤は満足気にニヤリ。

「中嶋選手はタッグ・リーグの公式戦でも当たっているけど、久々にシングルでやってみたいなと思う素晴らしい選手ですよ。起田選手は、よく言われる“若手に足りないもの”を持っている選手ですね。胸を貸したつもりはないですよ。彼のキャリアが何ヵ月であろうと、俺は同じ立場としてリングに上がって、戦ったわけだから」と丸藤。

 丸藤は、SEM興行ではいつも自分の試合が近づくまで記者席で他の若い選手の試合を観ている。そこで感想を聞いてみたら「ウチの選手は多少なりとも知識のある選手なら対応できるんだけど、未知の相手だと明らかに戸惑っている。未知の相手と戦った時は強い弱いは意外と関係ないですからね。知らない相手だと確かに怖いというのはあるだろうけど、そこでどういう相手であろうと戦える対応力を身に付けないと」。

 スタイルに関係なく、誰とでも戦える実力、臨機応変さ、気持ちの強さを養う場がSEM。このリングからは明るい未来が見える。

投稿者 maikai : 15:29 | コメント (1)