« ナチョ・リブレ | メイン | 赤鬼33年! »

2007年04月20日

ファイティング・オペラ

 昨日は昨年11月23日の『ハッスルマニア2006』以来、5ヵ月振りに後楽園でナマ・ハッスル。ハッスルの取材はリング上を見るのみで観客と同じ立場。控室に入れないし、コメントも取れない。WWEと同じだ。

 印象に残っていることを書き連ねると…まず、オープニングでは総統代行のモンスターK川田が『千の風になって』を熱唱。昔から川田はカラオケが大好きだし、歌がうまい。特に高音が伸びる。天龍同盟の試合後の飲み会で天龍さんに「歌わんかい!」と命じられて『みちのくひとり旅』を熱唱していたのを思い出した。

 バンザイ・チエとシングルを行なったセレブ小川の憎まれぶりは本物だ。ヒールというより、ナチュラルな嫌悪感。お客はブーイングを飛ばすのではなく、引いてしまうのだ。そしてセールス・ポイントはショッパイということ。嫌悪され、さらにショッパイと言われたら救い難いが、それをウリにする小川はある意味で凄い。吹っ切れている。このキャラがどういう方向に向かうのか…。

 嬉しかったのはタイガー・ジェット・シンが63歳になった今もなお、昔と変わらぬ狂虎ぶりを見せていたこと。全盛期を知らないであろうお客さんをシンがマジでビビらせているのは快感だ(苦笑)。何しろ、シンは本当に怖いレスラーだった。リングを降りても狂虎を演じていたから、私も控室、記者会見場、挙句は偶然、同宿になったホテルでも殴られた。地方巡業で試合後に道でパッタリ会った時も「ハタリハタマタ!」と凄まれたものだ。どうしても笑いの部分が強調されるハッスルにあって、本当の恐怖を観客に感じさせるシンの存在は貴重である。

 メインは天龍&川田&TAJIRIと大谷&KUSHIDA&RGの6人タッグ。モンスター軍VS旧ハッスル軍という図式の中ではあっても、見せるべきところはキチッと見せていたと思うが、本当ならまだまだできるはず。ハッキリ言って食い足りなかった。腹一杯にさせてほしいとは言わないが、せめてプロレスだけで腹八分にはさせてほしいものだ。

 だが、RGがブレイクしているのはわかる。『ハッスルマニア2006』で鈴木みのるに苛められている姿も大したものだと思ったが、前回の後楽園ではシンに血だるまにされたし、さらに天龍&川田と絡むなんて、よほどの覚悟がないとできないはず。RGなりの真剣なプロレスへのアプローチは感心する。RG人気には見る側の「どんなにひどい仕打ちを受けるんだろう?」という残酷な興味&RGの芸人魂への賞賛という2つの気持ちがあるのではないか。

 さて、例によって「ハッスルとは何か?」という問題になってしまう。これを完全にプロレス的視点で捉えるのは無理だ。純粋なプロレスではないし、純粋なバラエティ・ショーでもない。これはプロレス的要素もバラエティの要素もある新しいエンターテインメントと考えるのが一番、落ち着く。プロレスと名乗らず、ファイティング・オペラと名乗っているのだから、これは素直に新しいエンターテインメント=ファイティング・オペラとして楽しめばいいのだ。

 平日にもかかわらず2100人(超満員)の観客が集まった。客層はスーツ姿の男性、若い女性が目立った。彼らは、お笑いの部分で笑い、プロレスの部分で「おおっ!」と声を上げる。そして幸福そうな顔で家路につく。後楽園ホールはファイティング・オペラという、日常を忘れさせてくれる空間だった。

 ただ、プロレス的な立場から見ると、ひとつ足りない要素があった。それは感動。笑いもいい、恐怖もいい、驚きもいい、でも最後には感動したい。きっとプロレスを見る人が今一番求めているのは、純粋な感動だと思う。どんなに面白おかしい要素を盛り込んでも、最後に感動できたら…それが最高のエンターテインメントだと思うのだが…。

投稿者 maikai : 2007年04月20日 13:03

コメント

コメントしてください




保存しますか?