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2006年10月31日

TAJIRIの器

 10月27日のゼロワンMAXの後楽園、29日の全日本の博多でTAJIRIと久々に話をした。ゆっくり話をしたのは02年6月にハワイのペりーズ・スモーギーというオープンエアのレストランでフナキ・ファミリーと一緒に朝食を取って以来のことだ。

 ゼロワンMAXでは藤田ミノルと10年ぶりの対決。きっと大方のファンは2人の青春物語を期待しただろうが、TAJIRIはそれを拒絶して、敢えて技の応酬はやらなかった。TAJIRIのファイトはパフォーマンスと長い間を取るというイメージが強いが、実は無駄な動きがまったくなかったし、お客と会話しつつ、攻めどころでは藤田に反撃の隙間がないほどの畳みかけをしていた。そして、ひとつひとつの技の入り方に工夫を凝らしているから、大技に頼らない。結果、試合は完全にTAJIRIのペースになり、藤田の雑さが目立ってしまった。ファンには期待に反した試合になったと思うが、藤田には勉強になったと思う。

 全日本の博多のムタとのタッグでは、ムタがTAJIRIのアドリブ&感性と必死に勝負していたように見えた。8月の両国の2人の一騎打ちは期待はずれな内容になったが、それはムタがTAJIRIのスピードとアドリブに対応できなかったからだと私は思っている。今回、ムタはタッグという形だったが、改めてTAJIRIと勝負したと思うのだ。

 そんな話をTAJIRIにすると「そういうプロレスの見方をしてくれるマスコミの人がいるのは嬉しいですね。僕は、今の日本のプロレスは理に適っていないと思ってるんですよ。なぜ、その場面でその技を使うのか、なぜそこで大技が必要ないのか。そういう理屈は大事だと思います。あと、例えば僕みたいな小さな人間がスーパーヘビー級の人間をロープに振ったりできるわけがない。そうなると、どうやってロープに振るのかを僕は考えるし、その1点だけでも見どころになると思うんですよ」などとプロレス談義に。

 TAJIRIのファイトは新しいようでいて、実はプロレスのベーシックな部分を重要視しているのだ。パフォーマンスだけでなく、彼の試合の組み立てに注目してもらいたい。そこには古き良き要素がたくさんある。
 

投稿者 maikai : 19:25 | コメント (0)

2006年10月28日

大木金太郎さん

 去る26日に韓国で亡くなった大木金太郎さんについて書いてほしいとBBSにマサ札幌さんから書き込みがあったので、少し…。

 力道山門下生の三羽烏の中で馬場さん、猪木さんを取材できたことは私にとって財産だし、今のプロレス・マスコミの中では貴重な経験をさせてもらったと思っているが、大木さんだけは取材はもちろん、喋ったこともなかった。

 私がゴング編集部で仕事を始めた1980年当時、大木さんは国際プロレス所属選手。国プロの取材はほとんどなかったし、若造だった私などはとても大レスラーの大木さんと口をきける立場ではなかった。今、思うと残念で仕方がない。

 国プロ時代、大木さんの付人をしていた冬木さんは「プロレスに入って一番最初に付いたのが大木さんだったんだけど“ああ、プロレスラーはこんなに凄いんだ”って思ったよ。飲みに行く時は必ず高級クラブだったしね。天龍さん? 天龍さんは、俺が付いた頃はお金がないレスラーだったよね。メシは食わせてくれたけど、それがやっとこさ。だって食うもん、しょっぱかったもん(笑)」。と独特の言い回しで話してくれたことがある。きっと、モロに昭和のレスラーだから、さぞかし豪快だったのだろう。

 ちなみに私のファンの時代のベストバウトは中学1年生の時にテレビで見た74年10月10日、蔵前国技館における猪木ー大木戦。純粋な試合としては同じ年の3月19日に行なわれた猪木ーストロング小林戦の方が名勝負(この試合のテレビ放映は小学校の卒業式の日だった)だったと思うが、心に響いたのは断然、猪木ー大木戦。凄く殺気立っていて、額から血を流しながら拳を固めて「来い!」と構える猪木さんに頭突きをガンガン叩き込む大木さん。最後は猪木さんのパンチからのバックドロップでケリがつくというシンプルな試合だったが、試合後に泣きながら抱き合う猪木さんと大木さんを見て胸が熱くなったのを憶えている。きっと、ずっとプロレスを見続けている人は、子供の頃の記憶に感動した試合があるからではないだろうか。その意味では大木さんに感謝している。そして、改めてご冥福をお祈りします。

投稿者 maikai : 17:30 | コメント (1)

2006年10月22日

今日はDDT

 今日は後楽園ホールにDDTを見に行った。私がこの団体に注目し始めたのはWWEの面白さを自分たち流にアレンジして、独自の価値観を築き始めた7~8年前。当時は渋谷を拠点としていたが、来ているお客さんが新日本や全日本のことはまったく知らないのにDDTのアングルには詳しいのが新鮮だった。従来のプロレス・ファンとは違う種類のファンを開拓したのである。実際には、なかなか取材する機会はないのだが、サムライTVの『S-ARENA』で映像を見ることもできるし、妙に親近感がある団体なのだ。

 それにしても相変わらず企画力には感心する。大鷲のベビー宣言によってヒールがイタリア軍しかいなくなったと思ったら、高木三四郎自ら反体制のTEAM2サウザンアイランドを結成してしまった。「社長が何で反体制なの?」とツッコミを入れたくなるところはご愛嬌。

 ストーリーラインの面白さの一方では飯伏対HARASHIMAのようにファイトだけで客と勝負する試合もある。硬軟バランスよく構成されており、レッスルランドの関係者は見に来て研究した方がいいと思う。

 私が最も興味を持っているのは高木三四郎のプロレス頭。どうやって彼の頭脳が生まれたのか、インタビューしてみたいものだ。

投稿者 maikai : 17:11 | コメント (0)

2006年10月21日

天龍とフジイの師弟関係

 昨日のドラゴンゲート後楽園はCIMAとGammaのコスチュームチェンジ・マッチ、メインでは戸澤塾の旗持ちオヤジが宍戸幸之の本名を明かしてメインで一夜限り(?)のファイトをやってのけるなど、見る者を飽きさせない大会だった。

 だが、そんな中でも一番インパクトがあったのは天龍とドン・フジイの龍魂十番勝負。かつて勤めていた会社の社長に思い切りグーパンチを見舞っていくのだから、フジイはいい根性をしている。そんなフジイを天龍は髪を鷲掴みにしてのグーパンチでKO。
「反則だけど、相手にギャフンと言わせなきゃいけない時がある」
とは天龍の言葉だが、そこまで天龍にやらせたことがフジイにとって大きかったと思う。

 やはり天龍にとってフジイは可愛いようだ。「そんな小さい体じゃ、プロレスラーになっても苦労するだけだから」と、レスラー志望でWARを訪れたフジイを営業部員にした天龍。だが、フジイは夢を諦めきれず、WARを退社して闘龍門の1期生としてメキシコに渡り、レスラーになった。そんなフジイを見て天龍は「フジイの考えの方が正しかった」と素直に言った。そして今回の試合で天龍は、ドラゲーの中では異色のパワー・ファイターの道を進んでいるフジイの背中を「このままのスタイルで迷わず行け!」と後押ししたのだと思う。

 さて、最後はボコボコにされたフジイだが、
「ダテに10年、相撲取りをやってたわけじゃないですからね。これくらいやられたって大丈夫ですよ。グーパンチで口の中がザクザクになっちゃって、今日は晩飯が食えそうもないですけど、酒で消毒しますから!」
 と、笑っていた。夢を諦めない男・ドン・フジイ。オッサンくさいけどカッコいいぞ!

投稿者 maikai : 16:39 | コメント (0)

2006年10月12日

久々の映画鑑賞

 昨日は映画『フラガールズ』を観に行った。これに興味を持ったのはテレビ東京の『出没!アド街ック天国』で福島いわきの炭鉱が衰退していく中で、レジャー産業に活路を求めて「常磐にハワイを作ろう!」ということからスタートしたと知ったから。

 映画は常磐ハワイアンセンター(現在のスパリゾートハワイアンズ)のフラガール誕生にスポットを当てたもので、なぜ常磐をハワイにしようという発想が出てきたのか、それをどう具現化していったのかという、私が最も興味を持っていたポイントは出てこなかったものの、新しい時代を生きようとする人間と、頑なに炭鉱を守ろうという人間の葛藤など、実に面白かった。炭鉱娘にフラを教える先生役の松雪泰子の存在感は凄かったし、出ている女優がいずれもフラ、タヒチアン・ダンスをマスターしていることに感心!

 それにしても炭鉱からハワイとは凄い発想の転換である。物事を継承するのも大事だが、創造、新たな発想がなければどんな世界も発展していかない。単に楽しいだけでなく、いろいろ考えさせられる映画だった。

 

投稿者 maikai : 12:56 | コメント (0)

2006年10月09日

2ヵ月半ぶりのレッスルランド

 昨日は7月23日のディファ有明以来、2ヵ月半ぶりに後楽園ホールでレッスルランドを見た。新日本のエンターテインメント性を特化したものというコンセプトでスタートしたレッスルランド…ハッキリ言って7・23ディファ有明では「何じゃ、こりゃ?」という感じだったが、昨日の大会は随分とこなれてきたという印象を受けた。

 まず、お客さんが楽しもうとしているのが一番。ディファではお客さんがノリ切れずに寒々とした空気が漂っていたが、昨日はお客さんが積極的に楽しもうとしていた雰囲気。リング上にしても、以前はエンターテインメントを意識するあまり、パフォーマンスばかりに力が入ってしまって本末転倒になっていたが、昨日はほどよいバランスだったと思う。試合は試合できっちりと見せてくれたのだ。もちろん全試合が良かったわけではないが、それはどんな大会でも同じ。見終わった時に「今日は面白かったな」という余韻が残ればそれでいいと思う。

 試合的にはミラノVS田口が良かった。田口はファンキー・ウェポンなるキャラで出ているが、本隊でもこのキャラをやったらいいではないか。弾けたムードが実にいい。中西も、単なる野人ではなく、ナマの人間性が見られて良かった。FMW、DDTなど、エンターテインメント路線で成功した団体に共通して言えるのは、作り込まれた中にレスラーの素の部分が垣間見られること。これから中西も本隊とは違う魅力を発揮してくれることだろう。それからブードゥー・マーダーズが初登場したが、どこでも自分たちのキャラを貫く彼らは大したもの。私のVM支持は変わらない。

 何のためにレッスルランドをやっているのか、棚橋はタイトルマッチ前日にマスクを被って試合をやっていていいのか、下ネタの是非は…など、突っ込めばいろいろなことが出てくるが、基本的にはチケットを買うお客さんがいて、そのお客さんが満足して帰ればOKというのが私の考え。理屈をこねくりまわすよりも、やっていく中で何かが見つかるだろうし、何かが生まれてくるのだろう。肩の力を抜いて見ていきたい。

投稿者 maikai : 09:58 | コメント (0)

2006年10月06日

上井延期!

 今日、10月8日の後楽園ホールにおけるUWAI STATION興行の延期が発表された。上井さんから電話がかかってきたのは午後1時過ぎ。私はメインのカードが決まったと思って「決まったんですか?」と聞いたら、返ってきた答えは「決まったんですよ、延期が。今日、4時から会見をやります」とのこと。

 先週、私は10・8後楽園の最終情報を週刊ゴングで書くためにギリギリまで粘った。結局、出てきたのは毛利明彦対村浜武洋、エンセン井上対小原道由、ドン荒川対菊タローの3カードだけ。目玉にしていた門馬秀貴の欠場が痛かったようだ。10月1日深夜の時点で、
「門馬選手が出れなくなりました。すいません、メインのカードが決まりません。本当は月曜日(2日)に記者会見を行なおうと思っていたんですけど、無理です。早くても水曜日頃です」
 と悲痛な声。結局、前述の3カードの他に、さらにメイン、セミ、セミ前の3カードを組んだようだが、どう見ても付け焼刃であり、大会延期を決断したという。それは上井さんのプロデューサーとしての意地であり、ファンに対する誠意だったと思う。

「カードも決まっていない段階で“上井なら面白いカードを組んでくれるだろう”という期待感だけでチケットを買ってくださったファンを裏切りたくない。用意したカードは取ってつけたようなものだったので、これで強行したら、ファンに申し訳ないし、自分自身の信念も曲がってしまうと思いました」
 と上井氏。私は上井さんに、
「これじゃあ、UWAI STATION…上井駅じゃなくて、上井エンキ(延期)って呼ばれちゃいますよ!」
 と言ったが、やっぱり上井さんには頑張ってもらいたい。私が2年前に日本スポーツ出版社を退社してフリーになった時に新日本の執行役員の要職にいた上井さんは「小佐野さん、絶対にこの業界に残って下さいね!」と、いろいろ便宜をはかってくれた人物なのだ。

 もちろん報道に私情は禁物だし、だからこそ前田日明にインタビューした時も、前田の激しい上井批判もすべて記事にしたわけだが、それでも応援できることは応援したいという気持ちはある。

 今回の延期で、またまたイメージは悪くなってしまっただろうが、汚名返上のため、ファンへの謝罪のためにも12・3大会に邁進してもらいたい。

投稿者 maikai : 22:03 | コメント (4)

2006年10月01日

ハッピーエンド

 昨日の後楽園ホールにおける全日本の盛り上がり方はよかった。メインは全日本正規軍+元ROD(TAKA&ケア)VSブードゥー・マーダーズ(以下、VM)の5対5イリミネーション。最後はケアが大流血の中、開幕戦で裏切ったブキャナンとディーロを連破し、TAKAの「ROD!ブイヤー!」ではなく「ゼンニッポン、マザー!」で締め。開幕戦からのファンの鬱憤を一気に晴らしてくれた。ちなみに、「マザー!」とは武藤がシャイニング・ウィザードに入る時の「マザー・ファッ○カー!」という雄叫びから取ったもの。実際には「マザー!」あるいは「マザファッ!」と聞こえるのだ。それを掛け声に使われたから武藤も苦笑いだった。

 改めて思うのは全日本にはハッピーエンドが合っているということ。開幕戦でディーロとブキャナンがRODを裏切った時には、明らかに客席がひいていた。ハプニングよりも心地好さが今の全日本の魅力なのだ。

 ところで昨日も存在感を際立たせていたのはVM。あの鈴木みのるだってVMと相対すると大ベビーフェースになってしまうのだから、VMはヒールとして本物。「全日本は俺たちVMで成り立っているんや!」というTARUの言葉には素直に納得である。

投稿者 maikai : 16:25 | コメント (0)